星と夜でドラマチックに色が変わり 希少価値の高い宝石、アレキサンドライト アレキサンドライトが発見された時の逸話です。 「エメラルド鉱山で鉱夫たちが、エメラルドとまったく違う珍しい石を見つけ、 一日の作業を終えた後テントの中でランプに照らしてみました。 すると、見つけたときには確か緑色の石であったはずが、 鮮やかな赤に変わっているではありませんか。 翌朝、再び太陽の元で見ると、元の暗緑色に戻っています。 不思議な石、もしかすると神の祟りかもしれない。 鉱夫達の間で大騒ぎになり、しばらく仕事も手につかなかったとのこと・・・」 ドラマチックで神秘的な宝石。 ある文献では(二面性を持つという双子座の守護石)6月の誕生石で 二つの才能を同時に開花させ、成功に導く運とされています。 アレキサンドライトはキャッツアイの仲間 鉱物的にはクリソベリルに属します。 微少の鉄とチタンを有するキャッツアイに対して、 アレキサンドライトは特有の色合いや変色性の演出は クロムが立て役者です。双方の特徴を持つアレキ・キャッツは最も珍重されています。 エメラルドやアクアマリンは主成分が同じようでもベリルに属し、 結晶の形状が異なり、別の鉱物です。 アレキサンドライトの不思議 クリソベリル(鉱物和名=金緑色)は斜方結晶に属し、 アレキの変色性は微少のクロム成分が要因と述べましたが 結晶軸の方向によって色が変わる性質の多色性とは基本的にことなります。 太陽光は、七色の光線(波長の差によるプリズム分光)の集合体で、 電灯光やロウソクの炎の光にはある光線(波長の短い)部分が欠けている光で、 この事が変色性の要因の一つです。 さまざまな光の演出されたサロンでは、変色性を発揮して、 想像以上の幻想的な美しさに魅了されます。 皇帝の名にちなんで命名 アレキサンドライトは、1830年4月29日ソ連のウラル山中にある エメラルド鉱山で発見されました。 その日がちょうど、ときの皇帝アレキサンドル2世の誕生日であったことから、 皇帝の名にちなんで「アレキサンドライト」と命名されたと言い伝えられています。 アメリカ合衆国のワシントンにある博物館には、66カラットのものが陳列されています。 アレキサンドライトの見分け方 アレキサンドライトは、非常に採掘量の少ない鉱物で、希少価値の高い宝石です。 クリソベリルでアレキサンドライトと認められる境界、 見分けるポイントは、密閉した部屋でロウソクの光を当て、 わずかでも赤色であれば、それはアレキサンドライトと認められます。 又、自然光では鮮やかな暗緑色で、ロウソクのような弱い光で 変色するときの赤の色合いが、鮮やかであればあるほど、 そのアレキサンドライトは良質とされます。 過去に、一月の誕生石として、合成のアレキサンドライトが出回っていましたが、 合成石といっても、合成コランダムにバナジュウムで着色し、変色性を与えたものでしたが、 近年は、アレキの合成石が作られるようになりました。 ガーネットやトルマリン 、そしてサファイアなどにも見分けにくい類似品が販売されています。 いずれも価値が極端に下がりますから、注意いたしましょう。 |