興味のある項目をクリックしてください!
☆なぜカットしなければならないのか 宝石の原石は、見た目にはただの岩石と変わりありません。 たまたま拾うようなことがあったとしても、宝石だとは気が付かないかもしれません。 一見何の変哲もなく見える原石に、宝石としての真価を与えるためには、 表面を磨き上げ、その宝石が本来持っている素晴らしい色と光を出す必要があります。 さらに、宝石の価値を一段も二段も高めるためのさまざまなカット法があります。 いくつもの平面や稜線を作り出し、 全体的に均整の取れた、美しい輪郭を持つものに仕上げていくのです。 このように、宝石の殆どは、その美しさを十分に発揮できるように整形、 あるいは加工するのが普通です。 また、「カットする」ということには、重要な目的があります。 ☆カットの目的とは 宝石のカットの目的には、およそ次の3つがあります。 ●宝石の色合いを、より鮮明に美しくするため ●宝石の輝きと煌めきを、より際立たせるため ●装身具としての用途に、ふさわしいものにするため まさしく宝石は、カットを重ねて磨き上げられていくことによって 真に価値の高いものが生まれてくるのです。 ☆カットの種類 宝石のカットの基本は大別すると、 ●カボッション・カット ●ローズ・カット ●ブリリアント・カット ●ステップ・カット の4種類になります。 いかに変化に富んだものでも、このいずれかのバリエーションか、 あるいは4種類の組み合わせによって処理されています。 @カボッション・カット このカット法は、古い歴史がありますが、 現在でも盛んに用いられています。 上から見ると楕円形で、優美な丸みを持つスロープとこんもりとした形に特徴があります。 カボッションカットは、宝石の性質などに合わせて、次の4つのスタイルに分かれます。 (a)ダブル・カボッション 上部と下部の両方がこんもりとカットしてあるが、上部のふくらみが高く大きい。 ルビー、サファイア、ガーネット、エメラルドなど、 硬度や透明度の高いものに用いられる。 ハイ・カボッションとも呼ばれる。 (b)フラット・カボッション 上部と下部のふくらみが同じ高さで、突出が低い。 翡翠やオパールのような半透明の宝石に用いられる。 (c)シンプル・カボッション 底が平らで、上部だけがこんもりとしている半月形。 主として不透明で硬度の低い宝石、 たとえば、ムーンストーン、メノウ、トルコ石などに用いられる。 (d)ホーロー・カボッション 凹カボッションとも呼ばれ、底部がえぐられていて上部だけがこんもりしているもの。 これは比較的暗い色を帯びている透明な宝石(黒翡翠など)に用いられ、 明るさを加える効果がある。 カボッション・カットに次いで現れ、 16世紀から20世紀の初め頃まで流行したカット法です。 24の三角形が規則的に並べられて、広く平らな底面を持っています。 現在では、合成宝石などに用いられることがあります。 このカットはインドに始まったもので、今でもインドでは、 このローズ・カットのダイヤモンドがたくさんあります。 17世紀から続いているダイヤモンドの代表的なカット法で、 58のファーセット(研磨小面)を持ち、 クラウン(上部)の33面、パビリオン(下部)の25面から成っています。 このカットは、宝石の中でも最高の屈折率を持つダイヤモンドに最も適したもので、 上方から入った光は、すべて上方に反射して、輝くばかりの美しさを放ちます。 クラウンとパビリオンの境をガードルといい、 頂部の平面はテーブル、パビリオンの頂点をキューレットと呼びます。 テーブルもキューレットも普通は正八角形をしていますが、 ブリリアント・カットの変形もあります。 それらは総称として、ファンシー・カットといいますが、 丸型とはまた違った美しさがあって、広く好まれているものです。 このブリリアント・カットも、ファーセット間の角度が正しいものでなければ、 最大の効果である全反射が望めません。 角度が狂えば、どんなカットでも、全反射が起こらず、輝きが減少してしまいます。 物理的、光化学的計算によって、 一定の比率と角度を保った丸型のブリリアント・カットに、 理想的な光輝がもたらされるわけです。 ガードルから見た大きさは、宝石の面積、 つまりダイヤモンドの表面の大小を意味します。 また、ガードルの厚みにクラウンとパビリオンを合わせた高さが、 そのダイヤモンド全体の高さになっています。 戦前までのブリリアント・カットは、クラウンがやや高いのが特徴でしたが、 最近では、クラウンが低く、その面積が広くなっているようです。 また、現在のブリリアント・カットは102面で仕上げるのが流行しているようですが、 過去は144面というものがありました。 しかし、やたらファーセットを多くすることは、 上方から見たクラウンが、カラットのわりに小さく見えるというマイナス面があります。 ブリリアント・カットは屈折率の高いダイヤモンドを最も美しく見せるためのカット法なので、 ほかの宝石にはあまり適していません。 ただし、ジルコニアや合成ルチルなど、ダイヤモンドの模造品として使われる石は、 屈折率がダイヤモンドに近いので、この形に磨くと、美しい輝きが得られます。 しかし、この美しいカットは人気があるため、ダイヤモンドだけでなく、 特に淡い色の透明な宝石にも、広く用いられています。 ≪ブリリアント・カットの各部名称≫ Cステップ・カット 前項で述べたブリリアント・カットは、ダイヤモンドには最適ですが、 屈折率の低いほかの宝石には不向きでした。 そこで、それぞれの宝石が持っている屈折率に合ったカット・スタイルが必要となりました。 ステップ・カットは、1930年代に考え出されたもので、 天然宝石の色を、より鮮やかに反映させようとしたものです。 形としては、四角形が基本となっており、その角を切り取った「エメラルド・カット」、 正方形の「スクエア・カット」、長方形の「バゲット・カット」などがあります。 たとえば、エメラルド・カットは、エメラルドの屈折率を最大限に生かしたもので、 このカットによって、エメラルドの緑は最高の色を発する事ができるのです。 もし、エメラルドをブリリアント・カットにしたら、 多分これほどの美しさは得られないでしょう。 |