■ヒスイ■


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▼「ひすい」は鳥のカワセミのこと ▼ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)

▼日本のひすいも世界的に有名 ▼オパールとともに、日本ではファンが多い

▼カットにもいろいろな工夫が ▼ひすいの色は緑色だけではない

▼類似石に注意


☆「ひすい」は鳥のカワセミのこと

 ひすいは、東洋的な味わいの深い宝石で、
 古くから日本人にも親しまれ、愛好されてきました。

 「ひすい」は、本来は、緑色の羽をしたカワセミという鳥のことです。
 カワセミの羽の色に似ていることから、「ひすい」となづけられたわけです
 ひすいの「翡」は赤い色であり、「翠」は緑色のことです。
 つまり、ひすいには赤と緑の二つの色がある、ということになります。


☆ジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)

 ひすいには、2つの種類があります。「硬玉」と「軟玉」の2つですが、
 わが国で「ひすい」といわれているのは硬玉のことで、
 軟玉と区別するために通常「本ひすい」という言葉が用いられています。

 英語のジェードにも、訳語として「ひすい」があてられていますが、
 ジェードには、「ジェダイト」(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類が含まれています。
 ジェダイトとネフライト、つまり硬玉と軟玉は、
 外見的にはかなり似通ったところもありますが、
 実際にはそれぞれ異なった鉱物で、硬度や比重、
 屈折率などの宝石の特性には明らかな差が見られます。

 角閃石の軟玉は、宝石としての特性が、輝石です。
 しかも、産出量が多いので希少価値にも欠け、ひすいとしては評価されてません。


☆日本のひすいも世界的に有名

 中国では、昔からひすいを宝飾品としてだけでなく、
 玉器などの美術品として用いていました。
 日本にも、いろいろなものが渡米してきています。

 そのために、ひすいは中国が原産地と思われがちですが、
 実際の原産地はビルマで、中国は加工の中心地だったわけです。

 ほかの産地としては、アメリカ(アラスカ州を含む)、
 カナダ、ドイツ、ニュージニアランド、ソ連のシベリアなどで、
 ごく少量ですが日本でも見つかることがあります。
 新潟県の糸魚川市や青海町などのものが、歴史も古く世界的にも有名です。


☆オパールとともに、日本ではファンが多い

 ひすいの色は、ふつう緑色が主なもので、
 鮮やかな色のものほど高級品とされています。
 透明度の高いものは「ろうかん」と呼ばれ、
 高級ひすいを表すときの言葉として用いられています。

 ひすいは、オパールとともに、日本ではファンの多い宝石で、
 指輪や帯留にも盛んに使われてます。

 しかし、現在では産出量がきわめて少ないために、古い彫刻や帯留を切って、
 指輪や男性アクセサリーなどにつくり代えられたりしているようです。



☆カットにもいろいろな工夫が

 ルビーやサファイア、エメラルドなどの透明度の高い宝石は、
 「ファセット・カット」と呼ばれる切子に研磨されますが、
 ひすいは透明度が低い(半透明か不透明)ことと、
 硬度の関係でほとんどが「オーバル・カボチョン」にカットされています。

 また、日本人の細い指に合わせて、
 両端を細くした「マーキーズ・カボション」のものもあります。
 さらに、オーバル・カボション」(凹カボション)に研磨して、
 透明感がでるように工夫したものもあります。

 なお、ひすいは古くから中国で珍重されてきた関係から、
 いまでも西欧流に重量を量らずに取引される習慣があって、
 カラットの表示をしたものはほとんどありません。


☆ひすいの色は緑色だけではない

 ひすいの色は緑だけではありません。
 ひすいの「翡」が赤を意味するように、
 カワセミの腹の色に似た赤いひすいも味わい深いものです。
 緑や赤のほかにも、白、黄、だいだい、青、うす紫、黒などのものあり、実に多彩です。
 うす紫の石は「ラベンダー・ジェダイト」と呼ばれて、
 品のある美しさに人気があり、アメリカには多くの愛好家がいます。

 白色のひすいを特殊な染料によって色づけする染色加工が、
 香港あたりを中心として行われているようですが、
 これは、宝石用の顕微鏡で拡大検査をしてみるとひと目でわかります。
 低価格で入手できても、短い期間のうちに色が褪せてしますおそれがありますので
 注意してください。


☆類似石に注意

 中国に残されている美術品には、西域からキャラバンによって
 シルク・ロードならぬ「ジェード・ロード(ひすいの道)」を通って
 中国に運ばれたネフライト(軟玉)によるものもすくなくないといわれています。
 現在、ネフライトが産出されるところは、ニュージーランド、
 アメリカのワイオミング州・アラスカ州、カナダ、台湾などです。
 日本には台湾のものがかなり輸入されています。

 ひすいには、「ジェード」ではない緑色半透明の類似した石が多く、
 「○○○ジェード」などとよばれるために、混乱を招く場合もあります。

 それらは、インドひすい、カリフォルニアひすい、アフリカひすい、
 オーストラリアひすい、加茂川ひすい、アマゾンひすいなどがあり、
 すべてを列挙しきれないほどです。
 いわゆる「本ひすい」とは、その価値に問題ならないほどの差異があります。